■ガーデン ワンポイントアドバイス





 

「グランドカバープランツ」はガーデニングの出来・不出来を大きく左右し、植栽のプランを成功させるためにとても重要な植物です。
文字通り、土の部分を覆うように成長し、雑草対策や土の湿度を保つなどの役割を果たします。 中でも一番の役割といえるのは、花壇を彩っていた花々が姿を消す冬場に、土部分が露出して殺伐とした雰囲気になるのを防いでくれることでしょう。
「グランドカバープランツ」には、一年草、常緑ともにありますが、1年を通じて葉の美しさを保つ常緑の植栽を入れておけば、冬でもお庭の雰囲気を美しく保ってくれます。

今回は、そんな「グランドカバープランツ」から お薦めを2種類、ご紹介しましょう。
 
 

   
   

1つ目は「リシマキア」。 常緑のグランドカバープランツです(写真左)。
以前、カラーリーフのお話の時に紹介しましたが、明るく照りのある小粒の葉で、初夏には黄色い花を咲かせる とても可愛いプランツです。

這性なので、門から玄関までのアプローチの脇や、飛び石の間に植えこんでも邪魔にならず、自然な雰囲気を楽しめます。
花壇に植える時は、少し背の高さがある植栽と合わせてみたり、寄せ植え…特にハンギングバスケットで垂らすように植えこむと、優しい感じが出ます。
リシマキアは育てやすく、土を選びません。
砂利やレンガの近くに上手にコーディネートすれば、お庭がぐっとセンスアップすることでしょう。



■リシマキアのコーディネート例■



 
   

   

2つ目は、這性の針葉樹「ハイビャクシン」です。 ヒノキ科で、古くから「ソナレ」と呼ばれ、和風の庭にもよく使われてきました。 最近は、デッキやレンガのテラスにもよく合うことと、比較的乾燥にも耐えるという理由から、常緑グランドカバーとして大変人気があります。地を這うように伸びる枝の間から、高さがある草花をのぞかせても効果的ですね。

多くの耐性に優れているので、植える時期を特に選ばず、育てやすい植物の1つです。
日当たりが良ければ、より美しい白味がかった青色になります。 もともとハイビャクシンは、壱岐・対馬方面の海岸に多く見られるもの。その魅力的な青い針葉は、冬の寒さで茶色くなったり、夏にぐったりすることもありません。
植える場所はレンガの縁でもよいのですが、高木の根の周りにトリミングのように植えても、自然な感じに仕上がります。



■ハイビャクシンのコーディネート例■




 

 
長いレンガの花壇にアイビー、アスパラ、白のゼラニウムがリピートして植えられています。
ポイントには、サンカクバアカシアとオリーブ。
4月の中旬には花壇から溢れるようにクレマチスアーマンディーが白い花を咲かせます。
この庭は、冬になっても枯れた雰囲気は全く感じさせません。 植えられた植栽の全てが常緑というのが、その秘密です。

花壇中央のレンガ積みは、施主のご希望でアンティークのレンガを使いました (写真上)。
レンガとレンガの間の空間には、アイビーを植えたとても小さなポットが置いてあります。
レンガ壁面を垂れるように伸びるアイビーは、この庭がとても古いものであるような錯覚をも与えてくれるため効果抜群。

庭は年月を経るほど魅力的になってゆくものなので、古く見せるためにはどんな努力でもしてみたくなります。

写真左は、木製のベンチで囲まれたスペースです。ゆったりとしたテラコッタの鉢を、半分土に埋めて配置しています(ベンチ中央部分の鉢)。
鉢には株立ちのエゴを植え、周りをクサツゲでトリミングしています。

エゴは、冬に落葉した後も枝ぶりが美しく、それだけでも十分に楽しめます。
しかし、周りにあしらったこの根締めの「グリーンリング」が、冬場 この場所に一層の潤いを与えてくれるというわけです。

このように、庭は四季感をとらえて作らなくてはなりません。
例えば、時季が春でも冬を十分意識して計画します。
また、成長し続けるものなので、5年後、10年後もイメージしなければいけません。
植栽という「ソフト」と、レンガやベンチといた「ハード」がひき立てあって年月を経ることができれば、それは間違いなく「美しい庭」と呼ばれるのでしょう。

いつも、その事を心にとめて庭を見つめています。



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