■はじめてのガーデニング

はじめてのガーデニング
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ガーデニング初心者を対象に、すぐに役立つ実践的なアドバイスをテーマごとにまとめていきます。また専門用語についても、できるだけわかりやすく説明していきたいと考えています。
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■第7回■ ベランダで始める庭づくり【1】  −マンションのベランダに適したアレンジ−

これまで、いろいろな寄せ植えについてお話ししました。

ガーデニングを始めたばかりの方には 広い庭のお手入れはちょっと難しいでしょうし、マンションにお住まいで庭の確保ができない方も最近多くいらっしゃるので、今回から1年間・4回の予定で、『ベランダで始める庭づくり』というタイトルでお話を進めたいと思います。
 
どんなに小さなスペースであっても、ちょっと工夫して植物をあしらうと、生活のスペースが広がり、気持ちにも余裕がでてきます。
ベランダは、ほとんどがコンクリートの打ちっぱなしの床と、味気ない壁で囲まれており、そのままでは、物干し場としての機能しか果たせない殺風景なスペースになってしまいがちです。でも、床の部分にデッキを貼ったり、寄せ植えしたコンテナを少しでも並べてみると、その日からちょっとお茶を飲んだり、リビングから眺めてもほっとできる素敵な部屋に変身します。

「アウトドアリビング」という言葉が流行りましたが、本来、日本では家と庭の境界線がはっきりしており、伝統的な日本の庭は眺めて愛でるタイプのもので、そこでコミュニケーションをとったりするような場ではありませんでした。しかし現在は、「リビングルーム」の延長として庭をとらえ、そこで食事をしたり、ちょっとお酒を飲んだり、ということが可能な "くつろぎの場"としての役割が求められています。それを実現するのはそれほど難しいことでありません。スモールスペースにあった植物と、植物を入れるコンテナ、その枠組みを作り出す床のデッキ材、必要であれば目隠し用のフェンスなどで簡単に庭空間を作ることができます。

まず今回は、これまでにお話した寄せ植えのテクニックだけでできる「マンションのベランダに適したアレンジ」をご紹介します。
ベランダの壁にフックでハンギングできる横長コンテナ
  〜ハンギングするので、全体の重量を軽くするためにプラスチックを選びました。季節ごとの色を楽しむための一年草を中心に植えています。
床に直接置く ポットタイプのコンテナ
  〜横長のコンテナとの相性を考えて同じようなデザインにしました。こちらには、以前「寄せ植えに挑戦【2】 −単体で楽しむ寄せ植えー」でご紹介した、背の低い木をメインにしたアレンジを行います。
コンテナのセッティングとメンテナンス
海外の素敵なお庭の例
 
 
 
 
これまでにお話した寄せ植えのテクニックだけでできる「マンションのベランダに適したアレンジ」をご紹介します。
用意するコンテナは2種類です。

▼その1:
ベランダの壁にフックでハンギングできる 横長コンテナ

ベランダでのガーデニングは、戸建の庭と比べて「植物が乾燥しやすい」「風が強い」などのデメリットがあります。したがって、植物は花期が長く、乾燥に強いものを選びましょう。コンテナ花壇の代表的な花「ゼラニウム」は、アフリカ原産の植物なので陽の強さ、水切れには大変よく対応してくれます。また戸外の寒さにもよく耐え、12月でも普通に花を咲かせてくれます。

少ないメンテナンスで一年中花が楽しめるというのは、ベランダガーデンの需要なポイントです。今回は白の「ゼラニウム」とクリーム色の「ビオラ」を組み合わせてみました(写真上)。
>>> ONE POINT
▼土入れについて
プランターの底からおよそ5分の1にパミス(軽石)をいれ、培養土を足していきます。少し土が入ったら、「ゼラニウム」を3個ほど、等間隔に高さを揃えて並べます。ポットの約半分まで土をいれたら、背の低い「ビオラ」を「ゼラニウム」の間にセットして、完全に土を入れ込みます。このとき、緩効性の肥料を混ぜます。土入れは、このあとの植物の成長を左右しますので念入りに、割り箸で隙間をなくすようにしっかり行ってください。最後にたっぷり水をやります。

▼POINT
ベランダにハンギングするためのワイヤー状のフックは、引っ掛ける壁の厚さに対応できるものが多く市販されています。土を入れると重量が思ったより増えますので、最初は小ぶりなポットで試してみるのもひとつの手です。

 


▼その2:床に直接置く ポットタイプのコンテナ

ポイントになる木も、乾燥に強いものから選びます。また成長が遅く、『切り戻し』に強い種類であることも重要です。ベランダなどのスモールスペースでは、剪定によって一定のサイズに抑えておかなければ全体のバランスがすぐに悪くなってしまいます。成長が早い植物は、その分メンテナンスに手間がかかります。「オリーブ」「フェイジョア」などは、以上のような条件を満たす重宝な植物です。

今回は「オリーブ」を使いました。選ぶときは根がしっかりしていて、葉のつやがよいものを求めます(写真上)。
植え込む手順はハンギングコンテナの場合と同じですが、根元には花類があった方が華やかなので、好きな花を選んで植え込みましょう(写真は 赤と白の「マーガレット」)。また コンテナに高さがあれば、写真のように上から垂れるようなつる性のものをアレンジしてもいいですね(写真は 斑入り「アイビー」)。
>>> ONE POINT
べランダでガーデニングを行う際に気をつけたいポイントのひとつに、メンテナンスをできるだけ省く工夫をする、という点が挙げられます。
例えば ポットからこぼれ落ちる土は、庭に直植えする際にはまったく気にする必要のないことですが、ベランダでは放置しておくと排水口を詰まらせてしまいます。また、枯れた植物の始末についても同じように労力を取られがちです。できるだけまわりを汚さない工夫をして行いましょう。



▼コンテナのセッティングとメンテナンス
セッティングのポイントはリビングから見ていつも、感じがよくなるような位置が必ずあるはずです。立ち木を植えたものは隣地からの目隠しとしての機能もありますので、いろいろ工夫してみてください。
水遣りの際に、ポットから水が垂れるのが気にならなければ、ハンギングポットをいちいち下に下ろす必要はありません。これからの時期、水は朝と夕方温度が下がってから2回やるのが理想的です。
 
ベランダガーデンを有効につかって快適な生活を送りたいものですね。
 

 


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実際のベランダでの写真ばかりで、ちょっと淋しくなりました。そこで、最後に素敵なお庭の写真でしめくくりたいと思います。どちらも海外で撮影した お気に入りのお庭です。



■コニファーの庭■
夏に向けては花の手入れが大変な時。このように、水場の周りは 這い性の針葉樹(コニファー)で、カラーが異なる色を組み合わせて植え込んでみると印象的な庭になります。



■宿根草の庭■
ラベンダー、パープルセージ、フォルミニウム(紫)、アルケミラモリス(黄色)、サントリーナ、ラムズイヤ(銀葉)などの 宿根草だけを組み合わせた、パレットの絵の具のような雰囲気のある植え込み。これも夏に、やや花が少なくなったころ葉の美しさが強調される例です。


 


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