■はじめてのガーデニング

ガーデニング初心者を対象に、すぐに役立つ実践的なアドバイスをテーマごとにまとめていきます。また専門用語についても、できるだけわかりやすく説明していきたいと考えています。

■第3回■  寄せ植えに挑戦!【2】 −単体のコンテナで楽しむ−


前回、寄せ植えに挑戦!【1】では、寄せ植えの基本についてお話しました。
 
お花ばかりの寄せ植えは大変華やかですが、花期が過ぎるたびに新しい株と植え替えなければいけないのでメンテナンスが大変です。初心者の方には、ガーデニングの楽しさを理解していただくために、できるだけメンテナンスが簡単な寄せ植えから始めるようにお薦めしています。
 
そこで今回は、植物を選ぶ時に気をつけたいポイントと、ポーチ脇や
テラスの上などに、コンテナを単体で置いて楽しむ寄せ植えについてご説明します。
 
植物選びについて
単体で楽しむ寄せ植え

 
さっそく、自分のお気に入りのコンテナを選んで
寄せ植えに挑戦してみましょう。 
 

特性がある程度似たもの同士を選ぶこと

日あたりを好むものと日陰を好むものを一緒に植えたり、乾燥を好むものとそうでないものを一緒にしてはメンテナンスがとても難しくなります。コンテナに植える場合、水やりを怠るとすぐに乾燥してダメにしてしまうことが多いので、乾燥が極端に苦手な植物は避けたほうがよいでしょう。
成長の仕方を良く調べてから植えこむこと
植物は、上に伸びるもの、「アイビー」など下垂するもの、また「アジュガ」などのように横に這うもの、といった具合に、それぞれ決まった形に育っていきます。
それらを上手に組み合わせれば、寄せ植えならではの美しさを引き出すことができますが、植物を色と形だけで選んでしまうと、植えた直後はまとまっていても、日が経つにつれてバランスが崩れ、せっかくの植物本来の生き生きとした感じが出なくなってしまいます。

■アジュガ■

日陰でもよく繁殖するグランドカバープランツの1つ。株分けも簡単にできる。 春先に、紫の尖塔(せんとう)状の花をつける。 常緑の葉はカーペット状に密生。
 
高さとカラーバランス

 
花壇などとは違って、小さな空間に数種類の植物でまとまった世界を作る場合には、立体的で色あいがそれぞれをひき立て合うような植物選びをしなくてはいけません。
まず、高さのあるものを中心に置くことが基本。手前にくるにつれて次第に低いもの、そして一番手前には、這うものや垂れるものを植えこみます。
同じ株数でも、形によってはボリュームを感じるもの、逆にこじんまりと見えてしまうものがあるので、全体のバランスをみながら植える株数を決めていきましょう。
また、花の色が黄・白などの明るい植物は、紫や濃いブルーの植物に比べ、ボリュームが出ていっぱい植えたように見えます。この場合は反対色…例えば、黄色にはブルーなどを一緒に植えれば、鮮やかでインパクトのある作品に仕上がります。
 

 

 
高さや色の組み合わせなどに配慮した
寄せ植えの作品例を紹介しましょう。


 
樹木の場合は、幹の部分が少し暗いイメージになりやすいので、明るくかわいいものを選んでバランスをとります。この例では、常緑の「ナンテン」の下草に、ロングの「アイビー」と「チューリップ」をあしらいました。
普通、和風のナンテンとチューリップではミスマッチですが、このように洋風で明るいコンテナに植え込めば、お互い引き立ち合います。
 

 
例1(写真上)と同じデザインでひと回り小さいコンテナに、「プロスタンテラ」を植えてみました。
紫色の花が白い鉢に映えます。
 


 
花が咲いている「スモークツリー」の足元に、「ジニア・リネアリス」と「ローズマリー」を植えました。
日が経っても、ジニアは長い間咲き続け、ローズマリーは下方に伸びるので、寄せ植えに自然な雰囲気が生まれます。
 

 

>>ONE POINT!

 
そのほかにもさまざまなポイントがありますが、寄せ植えで一番大切なことは、季節感をたっぷり取り入れるということです。
簡単に移動できるコンテナの寄せ植えは、玄関先などを手軽に彩ることができ、そこに暮らす人だけでなく、道行く人にとっても四季を実感できる絶好のツールとなります。
例えば、春先には1年草、冬場には「モミの木」のような針葉樹系…などとテーマを決めることで、植栽選びも一層楽しくなると思います。
 


 
メンテナンスが簡単な寄せ植えの一例として、ここではポーチ脇やテラスの上などに単体で置いて楽しむ寄せ植えについてお話しましょう。
 

まず、メインとなる常緑の植物を決めます。
それに、花色が美しい1年草を1〜2種類プラスするというもの。
この方法だと、手前の1年草を季節ごとに植え替えるだけでよいので、寄せ植えの管理も簡単で楽しくなります。

■フェイジョア■
裏葉がシルバー系で、整った樹形になる。6月〜7月にかけて花が咲く。10月には実がなり食べられる。

 
中心となるのは、あまり背の高くない木。例えば「キンカン」や「ミカン」といった果樹、または常緑でも「オリーブ」や「フェイジョア」などのシルバー系の葉をもつもの、落葉でも葉に変化があるものは楽しいですね。紅葉が美しい「ブルーベリー」などもお薦めです。
這性のものは、「ローズマリー」やワイヤープランツの「ハイビャクシン」などでしたら、入手しやすいと思います。どちらも1年中緑が続いて、しかも上向きに伸びないので、中心となる木や花を駄目にしてしまう心配がありません。
最後に、季節を感じられる比較的花期が長い1年草を選びます。
これからでしたら、「ジニア・リネアリス」、「サンビタリア」などがよいでしょう。



■ローズマリー■
這性のローズマリーは、よく縁取りに使われる。湿気を嫌うので刈り込んで風を通すこと。紫の花は四季咲き。

 



■ジニア・リネアリス■
暑さに強く、丈夫で育てやすい。6月〜10月と花期が長いので、追肥を忘れずに。

 



■サンビタリア■
日なたと水はけのよい土を好む。乾燥と暑さに強いので育てやすい。追肥を行う。

 

 
【1】下準備
コンテナの底に虫除けのネットを置きます。鉢の高さの5分の1ぐらいまで軽石=パミスを敷き、後は市販の培養土を入れていきます。
【2】ビニルポットのまま配置してみよう
まずは、植物をビニルポットから出さずにコンテナに並べてみましょう。中心となる木の周りに這性の緑、1年草の花が一体になるように配置してみます。土の表面の高さと苗の1つひとつの高さをそろえないと、水はけが悪くなることがあるので要注意。この時点で、すべてのポットの上端が必ず同じ高さになること、また、1つひとつのポットが斜めになっていないことを確認します。
【3】土入れ〜完成
ポットから植物を出すときは、土を落とさないようにし、根を傷めないように気をつけましょう。割り箸などで苗と苗の間を上下させ、根の下方まで土がしっかり行き渡るように植えこみます。
水やりの時、水がこぼれないように、コンテナから指の関節1つ分下がったところが土の表面になるように土入れを調整します。
【4】水やり
植え終わったら水やりは丁寧にしましょう。しばらくの間は水やりの度に土が沈み、へこんだ感じになりやすいので、その都度土を足しましょう。
 


 
■寄せ植え例■

フェイジョアを利用した例


 

>>ONE POINT!

 
冒頭部分でお話したように、コンテナに植える場合は乾燥しやすいので、とにかく水やりを忘れないことが第一です。
しばらく経つと、それぞれ独立していた植物たちが徐々にまとまりを見せ、それぞれが引き立て合い、独特の世界を見せ始めます。自然のもつ美しさを堪能しましょう。
ただし、木や這性のものは残っても、花にはいずれ咲き終わりの時期がやってきます。普段から美しく保つために、小まめに満開をすぎた花がらを摘むことが大切ですが、花が枯れかけてきたら、病気などを防ぐためにも早目に根ごと抜いて、新しい1年草に替えるようにしましょう。
 


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