一般財団法人ベターリビング サステナブル居住研究センター(SLC)は、「SLCセミナー2025 ~建築・住宅の解体における再資源化・再利用の取組み~」を10月29日に開催しました。会場32名、オンライン182名の計214名にご参加いただき、建築分野における循環型社会の実現に向けた最新の動向と課題について、各講師から多面的なご講演が行われました。
1.セミナー概要
【開催日時】2025年10月29日(水)14:30~17:05
【開催方法】会場聴講、オンライン(Zoomウェビナー)聴講
【会場】(一財)ベターリビング 7ABC会議室(東京都千代田区富士見2-7-2 ステージビルディング7階)
【題目・講演者】
「住まいと暮らしの20年間の変化~SLIの更新~」 (一財)ベターリビング 居住研究課長 吉田 俊
「循環する家(House to House)について」 積水ハウス株式会社 資源循環チームリーダー 村井 孝嗣 氏
「建築における再資源化の取組みと課題」 明治大学 教授 小山 明男 氏
「建築の木質化の最新動向」 首都大学東京 名誉教授 深尾 精一 氏
2.講演概要
【住まいと暮らしの20年間の変化~SLIの更新~】
(一財)ベターリビング 居住研究課長 吉田 俊
ベターリビングのサステナブル居住研究センターで構築した指標群「サステナブル・リビング・インデックス(SLI)」を用い、過去20年間の住環境の変化を分析。耐震・省エネ性能は向上した一方、高齢化対応や空き家、地域格差など課題への対応は進展が鈍化していること等を報告しました。

【循環する家(House to House)について】
積水ハウス株式会社 資源循環チームリーダー 村井 孝嗣 氏
「家がまた誰かの家に生まれ変わる」を掲げ、2050年の実現を目指す「循環する家(House to House)」構想について紹介いただきました。長寿命化と資源循環の両立を軸に、リサイクル・リユース・リニューアル部材による住宅づくりや、資源循環センターでの実践事例、産学連携による循環型社会への展望をご講演いただきました。

【建築における再資源化の取組みと課題】
明治大学 教授 小山 明男 氏
建設廃棄物の再資源化の現状と課題を整理し、品質確保と流通コストのバランスを踏まえた循環利用の方向性をご紹介いただきました。再生材の活用を環境負荷低減に資する“性能”として捉え、技術開発のみならず、制度整備や発注者・消費者の意識改革を含めた連携の重要性についてご講演いただきました。

【建築の木質化の最新動向】
首都大学東京 名誉教授 深尾 精一 氏
欧州の高層木造建築の先進事例をご紹介いただき、日本における中高層木造化の現状と課題についてご説明いただきました。木材の利用拡大は脱炭素や地域活性化にも寄与することを踏まえて、設計・供給・制度の連携強化と、解体後を見据えた木材の循環利用の重要性についてご講演いただきました。
3.セミナーの様子
冒頭、当財団呉常務より建築物LCA制度化の動きを踏まえ、「解体における再資源化・再利用」の重要性や木質化の効果に触れ、本講演が今後の業務に役立つことを期待すると挨拶がありました。
また、眞鍋理事長の閉会挨拶では、4名の講師による講演を通じて、「サステナブル」を共通テーマに、解体・再資源化・木造建築に関する最新の知見が共有され、今後の方向性を再確認する機会となったと総括いたしました。
セミナー終了後には、講師と参加者による立食形式の懇親会を実施し、講演内容に関する意見交換や参加者同士の交流を深める有意義な場となりました。
 |  |  |
| 開会挨拶 常務理事 呉 | 会場の様子 | 閉会挨拶 理事長 眞鍋 |