住宅の防犯〜安心・安全のために〜
基礎知識
住宅の防犯対策を考えるとき、共同住宅を選ぶときこれだけは知っておきたい!「防犯に配慮した住まい」の姿 TOPへ戻る
知ってよかった! 防犯知識
1.具体的な侵入手口と行動の傾向は|2.狙われやすいのはどんな家?


具体的な侵入手口と行動の傾向は?

 敵を知れば危うからず。「わが家」の犯罪として代表的な侵入盗の最近の傾向と具体的な手口を知りましょう。

住宅への侵入手口


 住宅への侵入手口は、戸建住宅と共同住宅それぞれに明確な傾向があります。
 戸建住宅では、手口の約7割が「ガラス破り」による侵入です。
 共同住宅では、手口の約4割が「ピッキング」、約2割が「ガラス破り」による侵入です。
 (ピッキング:用具を用いて錠シリンダー部分を操作し、解錠して侵入する手口)
 ですから、戸建住宅では窓を、共同住宅では、第1に玄関、第2に窓をポイントに開口部まわりの対策を行うことが重要です。
 最近では、錠前の「ピッキング」対策が浸透したこともあってか、共同住宅では減少傾向で、「サムターン回し」や「ガラス破り」が目立っていることも注目しておきたいものです。
 一方で、戸建住宅、共同住宅ともに15%強が「無締り」の玄関や窓から侵入されています。これは、住まい手側のちょっとした注意で防げるものです。
戸建住宅の侵入手段
共同住宅の侵入手段

「侵入盗」の発生時間帯


 侵入盗の発生時間帯には一定の傾向があるようです。
 過去の統計から、午後2時から午後4時の間がもっとも多く、次は午前8時から12時までの間に多く発生しています。
 散歩や近所に買い物に出かける午後の時間帯や、通勤・通学などで家を出た後の午前中の時間帯が狙われているようです。
 ちょっとした外出でも戸締りを忘れないようにしましょう。
空き巣の時間別発生件数


 住宅への侵入にどれくらいの時間がかかれば、あきらめるのでしょうか。実際に警視庁が「空き巣狙い」の被疑者に聞き取り調査を行った興味深い結果があります。これによると、侵入に5分かかると、約7割が侵入をあきらめてしまいます。また、10分かかると9割以上が侵入をあきらめてしまいます。
侵入をあきらめる時間 警視庁調べ

狙われやすいのはどんな家?

周囲からの見通しが確保されていない


 警視庁が空き巣狙いの被疑者に聞き取り調査を行った結果によると、犯行をあきらめた理由として、6割以上が「近所の人に声をかけられたり、ジロジロ見られた」ことを挙げています。
 実際に被害に遭った住宅を調査すると、周囲からの見通しが悪く、人の目が届かない玄関や窓が侵入口となっているケースが多くみられます。
犯行をあきらめる要素 警視庁調べ

ピッキングや錠破りに弱い錠を使用している


 玄関ドアのシリンダー錠を狙った「ピッキング」の被害は、ピッキング対策によりずいぶん減りましたが、それでも共同住宅の被害の約4割がピッキングによる侵入です。
 カギ穴がノブ(握り玉)についている形式の錠前は、ドライバーなどで錠破りがしやすいため、狙われやすくなっています。
 ドアのすき間を狙い、道具を使って強引にドアをこじ開けられる被害も発生しています。
 また、サムターン回しやカム送り開錠などの新たな手口が次々と現れています。ドアの郵便受けや新聞受け、ドアスコープから手や道具を差し込んでサムターン錠を回して侵入されることもあります。


サムターン回しなどの手口も現れています。 郵便受けや新聞受けから手や針金を差し込んでサムターン錠まで届くような構造のドアは狙われやすくなっています。
サムターン回しなどの手口も現れています。 郵便受けや新聞受けから手や針金を差し込んで
サムターン錠まで届くような構造のドアは
狙われやすくなっています。

窓やバルコニーに近づきやすく、侵入されやすい


 戸建住宅では、1階で、道路などから近づきやすく、面格子などがなく、ブロック塀などに囲まれ周囲から見通しがきかない位置にある窓が狙われています。2階以上では、塀や雨樋などを足場にして伝い上りできる、周囲から見通しがきかない位置にある窓が狙われています。
 窓からの侵入の手口としては、ガラスを破り、クレセントを開ける、ガラスのこじ破りが多く見られます。
 面格子が付いていても、ネジ止めによる外付けのものは、ネジが取り外されて侵入されているケースが見受けられます。また、格子を強引に破壊し侵入するケースもあります。




 1階の窓も狙われるため、戸建住宅では、1階で、道路などから近づきやすく、面格子などがなく、ブロック塀などに囲まれ周囲から見通しがきかない位置にある窓が狙われていま す。2階以上では、塀や雨樋などを足場にして伝い上りできる、周囲から見通しがきかない位置にある窓が狙われています。「物置の屋根などを足場に侵入す るケースにも要注意です。

樹木が繁茂し、落書きなどが放置されている


 被害が発生している住宅は、玄関まわりやバルコニーなどにいろいろなものが置かれ、ゴミが放置されているなど、維持管理の状態にも問題が見られます。
 茂りすぎた樹木は、見通しを妨げているだけでなく、管理が行き届いていないことが周囲のことに無関心であることを示すことになります。また、スプレーなどの落書きなどの放置は、欧米においては犯罪増加の予兆を示すものとして知られています。



共同住宅では1階・2階・最上階が狙われやすい


 共同住宅での被害は、1階や2階が多いのですが、最上階やその直下階でも窓から侵入されるケースが比較的多く見られます。その理由としては、共用階段やエレベーターを通過する人が下階に比べて少ないこと、周囲からの監視がされにくいことが挙げられます。


出典:「侵入盗の実態に関する調査報告書(4)」平成9年3月/(財)都市防犯研究センター
1.具体的な侵入手口と行動の傾向は2.狙われやすいのはどんな家?
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