◇その場でチェックできない部分は、後に写真で確認します |
基礎工事の配筋段階でチェックできない部分は、工事が進んだ段階の写真を提出してもらい確認します。
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敷地境界の確認 | 基礎工事ベース打設完了 |
基礎立ち上げ部分の厚さ | 基礎立ち上げ部分の高さ確認 |
第1回目の現場検査は基礎工事の配筋が終了した時点で行われます。
親切に対応してくれた評価員Aさんの話をまとめると次のようになります。 検査に要する時間は一般的な住宅でだいたい40分程度です。建物の位地、基礎幅、鉄筋の緊結といったところを注意してチェックします。ツーバイフォー住宅はベタ基礎が増えていますので、一体で打つのか、2回打ちするのかなども現場の責任者に聞きます。 立ち上がり部分の高さ、厚さについては、配筋の段階ではまだ工事が行われていないので検査できません。また、2回目の検査は躯体ができた段階になり、よく見ることができなくなります。 そこで現場監督さんなどの協力を仰ぎ、黒板に工事名などを記入して現場に置いてもらい、基礎にメジャーを当てた写真を撮ってもらうことにして、後で確認させてもらいます。 基礎の高さは劣化等級とも関連してきますから重要なポイントになります。 ――と、第1回目現場検査のチェックポイントを語ってくれました。 |
◇チェック項目は基礎だけでも30項目にのぼります |
Aさんはチェックシートに基づいて綿密に検査していきます。 そのチェックシートを見せてもらうと、基礎部分だけでも30項目にものぼっています。参考までにその項目を紹介しておきます。 |
▽ | 地業 地業の状態→材料、大きなすき間無し、大きな不陸無し、締め固めされている 地盤改良の場合→杭(位地、本数、径)、地質改良 |
▽ | 基礎 基礎の構造形式→鉄筋コンクリート、その他 基礎の形式→布基礎、べた基礎、土間一体型布基礎 基礎の配置→配置、間隔、敷地境界線よりの距離、耐力壁下に基礎の有無 根入れ深さ→寸法(遣り方でGLを確認) 鉄筋の品質、径、位地→品質、径、位地・間隔、鉄筋が相互に緊結されている 鉄筋のかぶり厚さ→寸法(底盤60mm、基礎立ち上がり40mm) 開口の補強筋→大きさ、径・位置・間隔 隅部の補強筋→径・位置・間隔、重ね長さ40D以上 立ち上がり部分の高さ→高さが均一、高さ(GLより300mm以上) 立ち上がり部分の厚さ→厚さが均一、巾・厚さ |
――となっており、これらのチェック項目を「実物の目視」「実物の計測」「施工図書の確認」により検査していきます。 実物の目視、計測は実際に現場で確認してチェックシートに記入していきます。施工図書の確認は使用された鉄筋などの納品書や工事報告書、写真などで照合する検査です。 このほかの部位の性能についても、基礎部分と同様に細かく記述された確認シートが用意されており、綿密な検査がなされます。 |
◇躯体は時間をかけて綿密にチェックします |
第2回目の検査はフレーミングが終了した時点で行われます。 躯体はあらゆる性能に関連しますから、時間をかけて綿密にチェックします。特にツーバイフォー住宅は金物、クギの施工が正しく行われているかがポイントになります。一人で検査すると半日はかかります。 評価員の目視、計測だけで把握できないものについては、設計住宅性能評価書どおりの性能が担保できる材料が使われているかを確認する必要があるため、部材メーカーが発行した納品書、認定書などを提示してもらわなければなりません。 また、写真を提示しなければならないことも多いので、躯体に限ったことではありませんが、各工程終了後に写真を撮っておくと、後々役にたつことになります。 ――とAさんはいいます。 施工関連図書(納品書、認定書、施工図)の提示が求められる主だった部品、部位をあげてもらいました。 アンカーボルト、ランバー、基礎パッキン、土台下防水シート、集成材、合板、クギ、金物などが対象になるということでした。 こうみると躯体を構成するほとんどの部品ということになります。検査する住宅に使われた部材・資材の納品書などは必ず保管しておくことが検査をスムーズに進行させるとともに、なるべく品質表示マークの付いた部品を使うこともポイントになると指摘していました。 |
◇省エネ対策の断熱、気密などの施工状況を確認します |
ここでも、検査時点でチェックできない部位は、後に提出された写真で確認します。 |
玄関土間の断熱 | 玄関回りの断熱 |
バスルームの断熱・気密 | 1階壁の気密 |
建具工事の完了 |
第3回目は内装下張り工事の直前の段階になりますが、この段階では温熱環境に関する検査が中心になります。 省エネルギー対策のために導入される断熱材、気密材などの施工状況、開口部の断熱性能、日射取得といった点をチェックします。検査時間はそれほどかからず1時間程度で済みます――という。 ここでも、断熱材や気密材はもとよりサッシ、ドアなどの納品書、品質が記載された認定書を保管しておき、いつでも提示できるようにしておくべきであると、施工業者サイドに求めていました。 |
◇空気環境については神経を使って検査しています |
第4回目は完了検査ということになりますが、ここでは主に、空気環境、高齢者等への配慮の等級が検査されることになります。最後の現場検査になりますから、チェック漏れがないようにある程度時間をかけて、じっくりと検査します。 最近、シックハウス問題に関心が集まっているためどの評価員も空気環境には神経を使っています。 内装材、住設機器類に使われている材料を綿密にチェックし、JAS、JIS等級で高品質な材料が使われていても、それを確認できる認定書なり検査データーがなければ、現場で評価できないため、必ず揃えておいてもらいたいですね。 ――これらが、現場検査のおおよその手順とポイントです。各回の検査が終了すると「検査記録書」及び「施工状況報告書」に施工会社担当者(現場監督など)と性能評価員がそれぞれ署名して一部ずつ保管することになっています。 |