性能評価の現場

予備知識

設計と施工の2段階に分けて評価・検査します
 性能評価の流れ

 まず、現場審査の模様を紹介する前に、性能評価の流れをみておきましょう。
 マイホームを求めるユーザーが住宅性能表示制度を利用する場合、これから家づくりをまかせようと思っている設計事務所や工務店、ハウスメーカーなど住宅供給業者に、その旨依頼することになります。
 依頼を請けた住宅供給業者は、ユーザーの要望を取り入れた設計図などの申請図書を作成して第3者機関の指定住宅性能評価機関に申請します。(注文住宅の場合は施主が申請者になりますが、建売住宅やマンションの場合は住宅供給業者が申請者になります。どちらも、住宅性能表示制度を利用するかしないかは、任意です)
 申請を受理した指定住宅性能評価機関では、「日本住宅性能表示基準」という共通の“モノサシ”に基づいて「設計住宅性能評価」を行います。まず、設計の段階で図面を検討し、その住宅が持っている性能を判断することになります。
 次に、その設計内容どおりに住宅を施工しなければ、意味がありません。そこで、指定住宅性能評価機関に所属している評価員が現場に出向くことになります。建設中に3回と完成時の計4回現場検査を行い確認する作業が「建設住宅性能評価」です。
 つまり、設計段階と施工段階の2回に分けて性能が評価されることになります。


設計評価書はそのまま契約内容となります

 設計段階の「設計住宅性能評価」は設計図書をベースに審査されます。
 一般的な建築確認申請用の図面のほかに、各部位の詳細図、伏図、仕様書、設計内容説明書、各種計算書、自己評価書などの図書をチェックして性能が評価されます。
 これら設計図書に盛り込まれた内容が、実際に建設される住宅に反映されなければ、求める住宅性能の住宅になりません。
 そこで、契約の時に設計住宅性能評価書かそのコピーが住宅供給業者から施主に渡された時点で、日本住宅性能表示基準に基づいた性能が契約で約束されたことになります。これは大切なことなので覚えておきましょう。


設計どおりに施工されているかをチェックします

 設計住宅性能評価書が交付されると、次に施工・完成段階に進み「建設住宅性能評価」が行われます。
 これは、設計住宅性能評価書どおりに現場で施工されているかをチェックするものです。
 一戸建て住宅の場合は、原則として@基礎配筋工事が完了した段階A構造躯体の工事が完了した段階B内装下張り工事の直前の段階C完成段階――の4回にわたって検査が行われます。


劣化の軽減、温熱環境、空気環境に最高の等級を求める
 さて、実際に指定住宅性能評価機関の評価員がどのようなかたちで現場検査を行うのかをみてみましょう。
 取材に協力してくれた住宅は埼玉県で建設が進んでいるツーバイフォー工法による一戸建て住宅でした。
 まず、この住宅が求めている性能は、
 ・構造の安定=等級1
 ・火災時の安全=等級1
 ・劣化の軽減=等級3
 ・維持管理への配慮=等級1
 ・温熱環境=等級4
 ・空気環境=等級4
 ・高齢者等への配慮=等級1
 ――というもので、劣化の軽減、温熱環境、空気環境に最高の等級を求めていますが、他は建築基準法をクリアしたレベルになっています。
9分野の性能項目

1. 構造の安定
2. 火災時の安全
3. 劣化の軽減
4. 維持管理への配慮
5. 温熱環境
6. 空気環境
7. 光・視環境
8. 音環境
9. 高齢者等への配慮


 2×4住宅の施工工程と検査時期